LANDMARK 3 Lesson 15 単語の意味&本文和訳 保存倉庫



Lesson 15



Light Pollution

光害







もし人間が月や星の明かりの下で本当にくつろげるとしたら、真っ暗闇の中で幸せに暮らすことでしょうに。真夜中の世界は、地球に暮らす、ものすごい数の夜行性の種に見えるのと同じくらい、私たち人間にも見えることでしょうに(→もしそうなら、地球に暮らす、おびただしい数の夜行性の動物たちに真夜中の世界が目に見えるのと同じくらい、私たち人間にも真っ暗闇の世界が見えることでしょうに)。(しかし、)その代わりに、私たちの目は(明るい)太陽の光の中で生活するように適応していて、人間は昼行性の生き物なのです。たとえ、私たちが自分たちを哺乳動物だとは考えていないのと同じように、私たちのうちのほとんどの人が自分のことを昼行性の存在だとは決して見なしていないとしても、私たち人間が昼行性の生き物なのは基本的な進化上の事実です。しかし、夜に対して私たちが行ってきていることを説明してくれるたった1つの方法が、昼行性(=人間は昼間に生きる動物だという事実)です。夜でも活動的でいられるように、人間は夜を光で満たすことによって夜を操ってきているのです。









こうした操作(=夜を明るくすること)は、川をせきとめてダムを造るのと似ています。この恩恵は「光害」と呼ばれる報いを伴っています。科学者たちは光害の影響について、今、研究を始めたばかりです。光害は、ほとんどが下手な照明の設計の結果です。設計がまずいと、人工の光を下向きに集めるのではなく、屋外や上空まで照らしてしまいます。下手に設計された照明のせいで、夜の暗さはなくなり、光の強さは大きく変わり、私たち人間を含むたくさんの生き物が適応してきている光周期も大きく変わってしまいます。人間が作り出す光が自然界を照らすところではどこでも、渡りであれ、生殖や摂食であれ生活のある面が影響を受けるのです。









人類の歴史のうちのほとんどの期間、「光害」という語句は意味をまったく持ってはいなかったことでしょう。1800年頃、当時、世界で最大の都市だったロンドンに向かって月明かりの夜を歩いている場面を想像してみましょう。ロンドンには100万人近くが暮らしていましたが、ロウソクやたいまつやちょうちんしかありませんでした。ガスで灯された家は、ほんの少ししかありませんでした。あと7年間は、通りや広場には公共のガス灯は一本もなかったことでしょう。ロンドンから数マイル離れた場所に来ると、ロンドンの町全体が発する、かすかなうっすらとした明かりを見る可能性が高かったのと同じように、ロンドンの悪臭が漂ってくる可能性が高かったことでしょう。









今では人類のうちのほとんどの人は反射された光のドームの中で生活しています。照明が多すぎる都市や郊外がまき散らしている光のドームであり、光があふれる高速道路や工場がまき散らしている光のドームです。夜間のヨーロッパのほぼ全域は光の星雲です。米国のほとんどの地域と、日本の全域が光の星雲なのと同じです。南大西洋では、イカ釣り漁師たちがとても明るいランプで獲物を集めていますが、こうしたイカ釣り漁船のたった一つのグループからの輝きだけでも、宇宙からみると、実際にブエノスアイレスやリオデジャネイロより明るく輝いて見えます。









夜は様々なたくさんの種によって占められている(=種にあふれている=種に共有されている)ということを忘れて、私たちは夜を明るくしてきています。夜行性の哺乳動物の種(の数)は驚くほど(多いの)です。光は強力な生物学的な影響力を持っています(→光は生物にとても強い影響を与えます)。多くの種では光は磁石として作用します。光の影響はとても強く、科学者たちは次のように語ります――鳴き鳥(スズメのようなよく鳴く小鳥さんたち)や海鳥は、陸上のサーチライトや海底油田掘削装置のガスの炎から出る光に引きつけられ、数千羽もの鳥が光のまわりを飛びまわって、(そのうちに疲れきって)落っこちてしまいます。夜に渡りをしてて、明るく照らし出されている背の高い建物に激突する鳥も結構います。初めての旅で(渡りの経験がない)若い鳥は一番ひどい影響を受けます。









産卵するウミガメは暗い砂浜を好む習性がありますが、産卵に適した砂浜がどんどん少なくなっていることに気づいています(→産卵に適した砂浜を見つけるのがますます難しくなっています)。生まれたばかりのウミガメは、より明るい、よりたくさん光を反射する水平線に向かって進んで行くときに、人工の照明によって混乱している自分に気づきます(→人工的な照明のせいで混乱してしまいます)。フロリダ州だけでも、ウミガメの損失は毎年、数十万匹にのぼっています。明るく照らし出される高速道路の近くに生息するカエルは、普通より百万倍も明るい夜間照明の強さに苦しんでいます。このせいで、繁殖期の夜の大合唱を含む行動のほぼすべての様相が変わっています。









ウミガメさんたちとは違って、私たちのうちのほとんどの人は仕事に夜空は必要ありません。しかし、他のほとんどの生き物と同じように、私たち人間にも暗闇は必要なのです。光が生物学的な健康と幸せにとって(→生物として健康で幸せな生活を送る上で)、(そして)体内時計にとって必要不可欠なのと同じように、暗闇もその両方にとって必要不可欠なのです。私たちの生活に現れる覚醒と睡眠の規則的な周期は(私たちのバイオリズムのうちの1つですが)、地球上の明るさの規則的な周期の生物学的な表れに他なりません(→地球が明るくなったり暗くなったりを規則的に繰り返すことを反映した、生物の反応に他なりません)。覚醒と睡眠の規則的な周期は私たち人間にとってとても基本的ですから、この周期を変えるのは重力を変えるようなものです。









過去100年ほどの間、私たちは自分たちの体を使って無制限の実験を行ってきています。(すなわち、)昼間を拡大し、夜を短くし、光に対する人体の敏感な反応を抑制してきています。私たちが作っている明るい新たな世界がもたらした影響は、人工的に明るくされている世界の片隅に生息している、環境への適応の度合いの低い生き物たちに(人間の中に見るのよりも)もっと簡単に見受けられます。しかし、人間にとっても、光害は生物学上の犠牲を取るかもしれません(→光害は人体に影響を与えるかもしれません)。少なくとも1つの新しい研究によれば、女性の乳ガンの高い発症率と、(女性たちの暮らす)近隣の夜間の明るさの間には直接の(因果)関係があることが示されています。









結局、明るく照らされている高速道路の近くの池に住むカエルに劣らないくらい、人間も光害の(悪)影響を受けているのです。自分たち自身で作り上げた明るい光の中で生活して、人類の進化の歴史と、文化の歴史から自分自身を切り離してきていて、星明かりと、昼と夜の(生活の)リズムを手放してきています。真の意味で、光害のせいで、私たちは宇宙の中での自らの本当の居場所を見失っています。光害のせいで、天の川が横たわる深夜の大きさに対して一番上手く測定される、私たち人間の存在の小ささを忘れてしまっているのです。

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