LANDMARK 3 Lesson 14 単語の意味&本文和訳 保存倉庫


Lesson 14




人は意志を伝え合うように生まれています。子供たちは、どんなときが1つの話し方を使うのが適切なのかを学び、どんなときには他の話し方の方が周囲の状況にもっとふさわしいのかを学びます。子供たちは女性のような話し方や、あるいは、男性のような話し方を学び、(筋のある)話をする方法を学び、いろんな話し方について何を考えればよいのかを学びます。子供たちは自分の属している文化をもっとたくさん経験している構成員と交流することを通して、こうしたことすべてを学びます。




ほとんどの子供たちはしゃべり始める前の早い時期には、顔を見るのが好きです。子供たちは他の人との触れ合いを探します。アイコンタクト(=視線を合わせること)は生まれて4週目くらいのときに始まります。徐々に、身振りや発声を伴って、アイコンタクトは遊びに変化し、親子の間のコミュニケーションになります。イナイナイバーを考えてみましょう。このようなゲームは交流の原型になります。最初、子供は上がり調子のイントネーションを通じてゲームに招かれるのかもしれません。徐々に、子供は代わり番こに目を隠すようになり、ゲームを始めたりすることになるかもしれません。




親子の交流のもう一つのカタチは、赤ん坊が親の言ったことをそのまま繰り返す発声のときの話者交替です。親が何かを指さして名前を言うときに、さらにもう一つのことが起きます。子供がもっと大きくなって、親が絵本を読んであげるようになると、合衆国の中流家庭の文化には、次の手順を踏むお決まりの作業があります――子供の注意をひいて(「見てごらん」)、質問をして(「これ何だい?」)、子供から反応を得て(「ワンワン」)、親が評価する(「ピンポ~ン、ワンちゃんだよ」)ことから成り立ちます。こうした行為(のうちの)すべてが子供が学ばなければいけない大人の会話のやりとりの原型になります。しかし、子供と世話をする人(=親)は情報のやりとりをしているだけではありません。このような交流の目的のほとんどは関係を作り、相手の人を誘い込むことなのです。




どのようにすれば社会の一員になれるのかを子供たちに教えることに、すべての文化はかなり関わっています。合衆国の文化ではとても明らかなカタチで行われることがほとんどです。「赤ん坊みたいにするのはよしなさい」とか、「大人はそんなことはしませんよ」とか言います。親子の交流には、もちろん文化による違いがあります。合衆国の中流家庭の親は子供たちに絵本にあるものの名前を言わせたいと思っていますが、一方、日本の親は本を読んでいる間、子供の立場になって考えます。日本の親は、「あれ~、これ何なの? これ、とってもムジュカチィわね。いっぱい絵があるものね。さあ、ワンちゃんはどこかなぁ?」のようなことを言います。




日本の母親は合衆国のママたちと比べると、どちらかというと子供に甘いように思えますが、集団に対する個人の責任を要求する社会(→集団に対して個人が責任を持たなければいけない社会)の中でどのように行動すればよいのかを子供たちに教えることをとても重視しています。日本の母親は他の人たちからの反応を想像するという戦略を使うことが結構あります。悪い行いに対する日本の母親の反応は、「人に笑われちゃうわよ」なのかもしれません。あるいは、そのやり方は変ねとか、気味悪いわねとか言うかもしれません。「誰もそんなことしないわよ」と言うかもしれません。




パプアニューギニアのカルリ族のように、子供たちの発言を誰の目にもわかるように指示する文化もあります。カルリ族は「エレマ」(「同じように言いなさい」)という言葉で子供に繰り返してほしいと思っている発話をハッキリ示します。ゲームを始めたり、年上の人たちに何かをお願いする方法を子供に教えたり、子供がすでに発した言葉を訂正するために、エレマという言葉を使うかもしれません。カルリの人たちは赤ちゃん言葉を信じていません。赤ちゃん言葉は「ヤワな」ものと見なしています。子供たちは「硬質な」言葉をしゃべるように勧められるべきだと信じています。ですから、自分たち大人は、子供たちが繰り返せるように大人の話し方の原型になるべきだと信じています。




生まれて最初の3年間をかけて、子供たちは自分の所属する文化の中で適切に意志を伝える能力を身につけます。子供たちは、まず最初に、とても文脈に依存している意志の伝え方を身につけます。すなわち、身の周りの緊急課題についての意志の伝え方を身につけます。次に、比較的文脈に依存しない意志の伝え方を身につけます。すなわち、最近あった何かの出来事に対する謝罪や、「なぜ?」と問いかけたり答えたりするような身の周りの、急を要さない課題に関する意志の伝え方を身につけます。




子供たちが大きくなるにつれて、家庭の内でも外でもどちらでも人との会話に関わり始めます。生まれてからずっとやりとりをしてきてはいますが、会話は習得しにくいものです。大人は比較的スムーズに代わる代わる話せますが、子供たちはどう言っていいのかハッキリしなくなると、黙ってしまうかもしれません。最初は、子供たちは自分が話す順番を維持するのが難しいものです。子供たちは話すのが遅く、時にはあまり滑らかではないからです。しかし、4歳までには、まだ言い終わっていない合図として文の始まりに and (それで) のような道具を使う方法を子供たちは学びます。 so (そんなわけで) とか anyway (とにかく) のような道具を通して、1つの話題が他の話題とどのようにつながっているのかをうまく示せるようになるのに、12歳くらいまでかかるかもしれません。幼い子供たちは、ずっと昔の出来事や、聞き手の経験の範囲外の出来事に話が行ってしまうことが多いために、話しをしているうちに(話題が)あちこちに飛んでいくように思えるかもしれません。

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