LANDMARK 3 Lesson 13 単語の意味&本文和訳 保存倉庫


Ten Languages Die Out Every Year





❶毎年10の言葉が消失





❶ みなさんが英語の最後のネイティブ・スピーカーだと、ちょっとだけ想像してください。知っている人は他に誰も、君の言葉(→みなさんと同じ言葉)を話しません。お子さんたちにその言葉を教えても無駄だと感じてしまいます。誰もお子さんたちにみなさんと同じ言葉で話しかけたりしないのですから。みなさんがお感じになる喪失感を想像してください。「硬直した上唇(=決して物事に動じない)」、「間に合った一針(=今日の一針、明日の十針=適切なときに一針縫えば、あとで九針の労が省ける)」、「ニューヨーク流の1分(=すぐに、即座に)」のような、翻訳できないすべての英語(特有)の考えが消えてなくなってしまいます。歴史、文化、みんなが共有している記憶についてのすべての細かな手がかりはすべてなくなってしまうのです。









❷ 世界中には、およそ6,000の生きた言葉(→今も使われている言葉)があります。そのうち少なくとも半分は深刻な脅威の下にあります(→脅威にさらされています)。世界中のあらゆる地域で、言葉はなくなっています。実際、1人の科学者は、言葉は鳥類や哺乳類より高い絶滅の危機に直面していると言ったことがあります。イースト・アングリア大学のスティーヴ・サザーランド教授は、過去500年で鳥類の1.3%、哺乳類の1.9%が絶滅したのと比較して、言葉のうち4.5%が死に絶えていると算定しました。









❸ 約300の言葉が、100万人以上の人に話されています。こうした言葉は健全な言葉です。標準中国語のマンダリン、英語、スペイン語が一番広く話されます。10の主要な言葉だけで、世界の人口のほぼ半数の人の母語を占めています。しかし、世界の言葉(が持っている話す人の数)の中央値は6,000人ですから、世界の言葉の半数が6,000人以下の人によって話されていることになります。



















❹ 人間の表現の他のとてもたくさんの形式と同じように、言葉には移り変わり(→流行りすたり)があります。今までに存在したことがあるというどんな痕跡も残さないで、何千もの言葉が消え去ってきています。(いろんな)言葉の中でもバスク語、ギリシア語、ヘブライ語、ラテン語のようなごくわずかな言葉だけが、2,000年以上続いてきています。しかし、言葉が消失するペースがこれまでより速くなっているように思えます。ユネスコは、言葉が絶滅する割合が今では毎年、10言語に達していると主張しています。



















❺ 言葉が失われると、何が失われるのでしょうか? 言葉の絶滅は単に人類が徐々に進化してきている兆候にすぎないと主張する人もいます。こういう人たちの主張では、普遍的な(→誰とでも可能な)コミュニケーションが賛美されています。(言葉の)同質性が増えることは人類が進化していく上での副作用(→人類の進化の必然)にすぎないと言うのです。世界中の誰もが同じ言葉を話せば、明らかに、大きな利益があることでしょう。いくつかの産業(→業界)ではすでにこの動きを反映しています。英語がパイロットと航空管制官の交信には不可欠です。しかし、単なる利便性よりはるかにたくさんの考えなければいけないものがあることは明らかです。言葉が失われると、生活様式全体と一連の知の体系が言葉と一緒に失われるかもしれないのです。複雑な宗教的な習慣や社会慣習がなくなってしまいますし、口伝えの歴史は語られなくなってしまいます。世代を越えて集められた植物、動物、環境に関する情報は、決して(次の世代に)受け継がれないかもしれません。そして、人類が発明した(ものの中で一番の)豊かさ、(すなわち、)身の回りに見えるものについて話すという私たち人類の独特の才能は、(今より)ずっと貧しいものになることでしょう。


















❻ 簡単に言うと、言葉はアイデンティティに関する何かを表し、世界の中での私たちの居場所について何かを表すのです。ニュージーランド北島に住むマオリ人のある教師は、このことを次のように簡潔に述べています――「自分自身の言葉を話さないで成長すると、みんな自分が誰なのかわからなくなるものです」



















❼ アイデンティティの感覚と、自分の過去とつながっているという感覚が必要だということが、マオリ語の復活においては大きな要因です。マオリ語はニュージーランド先住民たちの言葉で、ヨーロッパからの移民が入って来る前にニュージーランドで話されていた主な言葉でした。しかし、20世紀初頭までには、子供たちは学校でマオリ語を話すと罰を受けるようになっていました。マオリ語を教える学校は、ほとんどありませんでした。1980年代までには、マオリの人たちのうちの20%未満しかネイティブ・スピーカーと見なされるのに十分なマオリ語の知識を持っていませんでした。たくさんの都会化したマオリの人たちは、自分たちの言葉と文化にまったく触れなくなっていました。今では、ニュージーランドに住むマオリの人たち4人に1人がマオリ語を話し、マオリの未就学児童のうちの約40%は、完全にマオリ語しか使えない学校(英語禁止の学校)に通っています。また、(今では)マオリ語は公用語になっています。



















❽ 死に絶えたと思われている言語が栄えて、活力あふれる言葉に復活することさえ可能です。ヘブライ語は西暦200年頃に話し言葉としては使われなくなりましたが、「神聖な言葉」としてユダヤの人たちによって使われ続けました。19世紀後半、エリエゼル・ベン・イェフダ指導による復活運動は、ユダヤの人たちに共通の言葉を提供してくれる話し言葉としてヘブライ語を再構築することを目標にしていました。この新しいヘブライ語は、シオニズム運動における大切な要因になりました。その結果、ユダヤの人たちが自分たちの故郷に戻ったとき、みんなには共通の言葉があったのでした。ベン・イェフダは何千もの新しい単語を造り、家庭でも学校でもヘブライ語使用(への道を)を切り開きました。現在、ヘブライ語はイスラエルの人口の81%にあたる500万人以上の人に話されています。



















❾ 今まさに失われようとしているものを、世界が理解し始めているのかもしれないように思えます。ユネスコは、多言語使用を積極的に推し進めていますし、もっとたくさんの伝統的な記念物と国立公園(のような有形財産)だけではなく、文化という無形財産も守る必要性も積極的に提唱しています。ユネスコの言語部門のトップのジョセフ・ポスは「3言語習得」の必要性について話しをしたことがあります――私たちはみんな、自分自身の母語、「隣人の」言葉、国際言語(の3つ)を話すべきです。学校で絶滅の危機にある言葉を教えることさえ、救出策を作ってくれるのですと、ポスは言います。

















➓ ほんの少しの話し手しか残っていない言葉には、この方法は遅すぎるかもしれません。残っている話し手はご高齢の傾向があり、母語をほとんど話しませんし、かつて知っていた言葉のうちの多くを忘れてしまっているものです。しかし、やっと、こうした言葉の価値が認められ始めているように思えます。この動きが損失の流れを防ぐことに向けての第一歩なのです。

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